GREEN SPRINGS STORY

第6話

プロジェクトマネジメント×ウェルビーイング〜GREEN SPRINGSのつくりかた〜(後編)

次世代のしあわせなライフスタイル「ウェルビーイング」について、GREEN SPRINGSに関わるひとびとが、様々な角度から語っていく連載企画です。 第5回は、開発計画のはじまりから関わる2人が、街区開発のプレイヤー編成や資金調達など、プロジェクトマネジメントの舞台裏を語ります。
※この記事は2019年7月の取材を基にしています。
(前編はこちら)

SESSION-1

「初めてつくるもの」を手掛ける楽しさ

久保:僕は20年ほど山下設計にいたんですね。最初の10年は商業施設やビルの設計に関わったりしていたんですが、その後は2016年と2020年のオリンピック招致だったり、そういうことをやる部隊にいたんです。
建築をやっている人って、大抵はその辺で見えるもの、もうあるものを作りたいとは思わないんですよ。やっぱり初めて作るものとか、なんかオリジナルなものを作りたい傾向がある。そんなチャレンジをやりたいなというのは仕事をする上でもずっと思っていて、そんな中で立飛さんと関わる最初のプロポーザルに呼ばれました。

横山:僕が今感じているのは、久保さんって今「話をまとめる」役割が多いじゃないですか。でもこれまでの仕事でも、どちらかというと「話を広げる」ことに強いマインドがある人だと僕は思っているんです。そういう意味では今の立場って、ストレスがあるんじゃないですか?

久保:そこは両面あって。今回に関しては“広げる”立ち位置の人は他にもういるから、じゃあ自分は穴の空いているパートを埋めにいく仕事をしようかなと。そういうのも好きなんですよね。それで皆さんが気持ちよく動いてくれるというのは、それはそれで楽しめるかなと。

  • 久保憲一
  • 久保憲一

SESSION-2

「GREEN SPRINGS」は社運をかけたプロジェクト

久保:「チャレンジしてみよう」って思う人が、このプロジェクトの中には多いのが特徴ですよね。与えられた素材がそういう意味では、これまでになかったものなんですよ。

横山:本当にやるのか」とか、「そもそもどこ目指してるのか」とか、よく言われましたもんね。

久保:開業してみたら「ずるいよね立飛さん」みたいなことを言われるのかもしれない。うまくいったプロジェクトって「あの立地だったら勝てるよね」みたいなことを言う人が多いじゃないですか。こっちは苦労してるのに(笑)。

横山:「いっぱい不動産持ってるからできるんでしょう?」とか言われると思います。僕のベースの役割って、立飛グループ全体の事業計画を作ったり、数値面のサポートだったりするんです。だからこそよくわかるんですけど、今回の街区開発にかける金額は、立飛の100年弱に及ぶ歴史の中で最も大きなプロジェクトといってもいいわけです。そういう意味では他に不動産は持っているものの、まさに社運をかけたプロジェクトなことは間違いないわけです。だから成功して「いっぱい土地を持ってるから〜」といった言い方をされるとしたらそれはそれでハッピーだと思うんですよ。そもそもこの街区がやろうとしていること、作ろうとしているものは、普通の商業施設と違って、効果測定が直接的にできないものなんですよね。だから効果が現れるまでにも時間がかかると思います。

久保:地主さんとか鉄道会社とかと同じような感覚かもしれないですね。周辺の土地の価値を底上げするために覚悟してやってる、という。

横山:不動産投資って、街をつくる段階ではお金が出る一方で、街ができて初めてペイすることができるという方式なんですよね。金さえ投じれば建物は建つわけですが、そこからどれだけのお金を産むかというのは神の如き予見能力がないと難しいわけです。これは「ららぽーと」みたいな何度も作っている施設でさえそうなんですよね。だから将来の数字を当てるというのは、相当に経済環境が安定していて、何回もやったものを似たような環境下でやる、そういうパターンでしか当たらないというのはこれまでの経験で身を持って知ってるわけで。ただそれを差し引いてもこのGREEN SPRINGSは一点ものすぎて、一応投資効果の予想を作って資金調達しますけども、どれだけ真剣にやってもこれを当てるのは難しいだろうなと。

横山:開業後も、やることは多いんだろうなぁと思います。

久保:いろんなトラブルも出てくるでしょうしね。全部一つ一つ手作りですから……そういう意味では、開業後もずっと「つくってる」のかもしれないです。運営も含めて言うと。

横山:今回は貸床だけでなく、ホテルやホール、バーやレストランなど、直営業態のものもつくっていますしね。直営なので内装や家具も自分たちが決めなくちゃいけない、オペレーションコストの心配もしなくちゃいけない、バーだったらメニュー開発もしなくちゃいけない。この間もレストランの試食会に久保さんと行きましたしね。

久保:ハンバーガーに一番こだわっているのは卓さんと横山さんですからね(笑)。でも今思っているのは、今回のプロジェクトって「同窓会ができる」なと。たまにあるんですよ、トラブルやケンカばっかりして、終わったあとには「もう二度と会いたくない!」っていうプロジェクト。今回は大変ですけど、終わったあとにまたみんなで会いたくなる……そんなプロジェクトになりそうです。

  • 久保憲一,横山友之
  • 横山友之
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横山友之

横山友之
株式会社立飛ストラテジーラボ戦略企画本部本部長兼執行役員。公認会計士/税理士/フィナンシャル アドバイザー。デロイト トーマツを経て独立、立飛企業(株)及び新立川航空機(株)のMBOについて助言。現在「GREEN SPRINGS」のプロジェクトを統括する。

久保憲一

久保憲一
株式会社フレームワークス代表取締役。1996年株式会社山下設計入社。建築設計部門担当として、ラゾーナ川崎プラザなどさまざまなプロジェクトに従事。2016年東京オリンピック招致活動施設計画や、2020年東京オリンピック招致活動施設計画に携わる。2015年フレームワークス設立。GREEN SPRINGSでは、開発全体のプロジェクトマネジメントを行う。