INTERVIEW

中村 哲也

1968年生まれ。1994年東京芸術大学院美術研究科修了(漆芸専攻)。現在、長野県在住。1998年より「スピード」という現代を象徴するテーマをとりあげ、自ら作り出した最速フォルムを、より速そうに進化させる「レプリカシリーズ」の展開をはじめる。今にも超高速で走り出しそうな機体を、確かな技法をもとにして本物のようにつくり出し、「視覚的な」速さで、見る者に直感的な快感を与える作品になっている。

「Think our own Well-being 私たちにとって、ウェルビーイングとは何か」をテーマに推進されているGREEN SPRINGSのパブリックアート整備事業。本シリーズでは、12カ国125組から応募があった「立飛パブリックアートアワード2020」で選出された公募作家5組、審査員特別賞受賞作家1組、そして4組の招待作家を加えた合計10組のアーティストを順次ご紹介します。
vol.1は招待作家の中村哲也さん。1994年から2000年まで立川に存在した伝説の共同アトリエ「スタジオ食堂」のメンバーでもありました。

【Q1】Think Our Own Well-being というテーマをどう解釈し、作品制作に取り組んでいますか?

【A1】「今よりいい状態になろうと工夫する」その行動と気持ちが人々に伝染し、自身を幸福な状態にすると考えています。
完成するまでの様々な工程でその都度訪れる心を震わす瞬間を逃さず、成長を実感できれば最高です。


【Q2】作品のコンセプトを教えてください。

【A2】「上昇輝竜」と名付けた本作品は、ぐんぐん上昇するイメージの運気がアップしそうな彫刻作品です。
鳥のような自然界の持つカーブと飛行機のような工業製品の持つ格好良さを同時に作品に盛り込んだ抽象形態で新しい時代のパブリックアートを意識して制作しました。三本の脚で高く持ち上げた構造は空を背景に仰ぎ見る視点を生み出し、晴れた日は青空に対比し、曇りには空に溶け込み、夜はライトアップによって夜空に浮かび上がる演出がされています。

GREEN SPRINGSはゼロから作られる新しい空間なので、この彫刻作品が空間を構成する一要素になれたらいいなと思います。
ここに来られる方々に上昇機運の幸せが訪れますように。


【Q3】今後の立川に期待することは何ですか?

【A3】千葉県から美大受験のために初めて上京一人暮らしを始めたのが立川。
大学を出て初めてスタジオを構えたのも立川でした。
所縁のある土地でアート作品を設置できることは大変ありがたく思います。
立川は都心から程よく離れていて、ゆったりとした時間の中で制作するにはもってこいの環境です。これからより明るく住みやすい街に進化してゆく為にもアートの役割は重大です。今後も学生やアーティストが多く集まり文化を作り出す街になっていくことを期待します。